なぜバックハンド・スライス・ディンクは静かな武器なのか
- Marlin-kun

- Jan 13
- 2 min read
ピックルボールにおいて、バックハンド・スライス・ディンクほど地味で、しかし決定的なショットはそう多くありません。派手にポイントを奪うわけでもなく、ハイライト動画に映ることもほとんどない。それでも、このショットを理解しているプレーヤーは、試合の流れを静かにコントロールしています。
多くの人がこのショットを苦手とする理由は、技術そのものではなく「考え方」にあります。バックスピンは強く切りつけることで生まれる、と思い込んでいる人が非常に多いのです。その結果、スイングは大きくなり、ボールは浮き、ポップアップやミスが増えてしまいます。皮肉なことに、スピンをかけようとすればするほど、成功率は下がっていきます。
実際のところ、バックハンド・スライス・ディンクが機能する理由は「シンプルさ」にあります。
バックスピンは、大きなスイングから生まれるのではありません。重要なのはパドルの角度です。パドル面を少し開き、ボールに対して真っ直ぐスイングすると、ボールは自然にパドル面を転がり、その結果としてバックスピンがかかります。誇張された「U字型」のカットは必要ありませんし、むしろリスクを高めるだけです。
もうひとつ重要なのが、腕の形です。肘が曲がると、人は無意識にボールを「叩き切ろう」としてしまいます。肘を伸ばし、肩からパドルまでをひとつのユニットとして動かすことで、スイングは安定し、再現性が高まります。落ち着いた動きこそが、このショットの成功率を支えています。
手首の使い方も誤解されがちですが、ここでもポイントは「動かさないこと」です。手首は返すのではなく、あらかじめ後ろにセットしておく。その状態でパドル面をターゲットに向け、ボールの下に入り、真っ直ぐ振り抜く。これにより、無理に横方向へ振る必要がなくなります。
そして何より大切なのは、このショットの目的を正しく理解することです。良いバックハンド・スライス・ディンクは、ポイントを奪うためのものではありません。相手のスピードアップを封じ、ボールを低く保ち、ラリーを自分のペースに引き戻すためのショットです。
下の動画を観る際は、派手さではなく「無駄のなさ」に注目してみてください。動きの小ささ、力感のなさこそが、このショットの本質です。
ピックルボールの上達は、何かを足すことではなく、すでにある動きを削ぎ落とすことで訪れることが多い。バックハンド・スライス・ディンクは、その好例と言えるでしょう。




Comments